英国駐在員の日々雑感


by winchesterpark
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TURNER AND THE MASTERS

テート・ブリテンで開催されているターナー展「TURNER AND THE MASTERS」に行ってきました。
今回のターナー展は、ターナーが1775年、コベント・ガーデンに生まれてから、1851年76歳でその生涯を閉じるまでの、彼の絵画の変遷をすべて堪能できるという贅沢な展覧会でした。

本日は、新年1月2日ということもあり、そんなに混んでいないと思いきや、世界中のターナーファンがここ、「テート・ブリテン」美術館に訪れてきていて、チケットを購入するのに行列ができていました。
■テート・ブリテン正面
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■チケット売り場
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■ターナー展入口
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ご存じのとおり、ターナーはイギリス人画家ですが、やはり当時の絵画はフランスを中心とした宗教画、オランダを中心とした風景画が世界の中心で、イギリス人画家というのはむしろマイナーな存在でありました。そんな中、ターナーはまず、徹底的に先人の絵画の模倣をしてその頭角を現します。特にフランス人画家「クロード」はその対象とされます。その後ターナーはイタリア、フランス、エジプト他いろんな国に旅に出るのですが、最も憧れていた「ローマ」や「パリ」は彼のインスピレーションをあまりあたえてはくれませんでした。しかし彼の絵画を飛躍させたのがその後に訪れた「ベニス」です。「ベニス」は水の都と言われるほど、運河に囲まれており、イギリスと違って、晴れの日が多く、空もきれいだったと言われています。ここで彼の得意とする「水」「空」の表現力を飛躍させるのです。そしてイギリスはその歴史で最も繁栄するヴィクトリア時代に突入し、まさに大航海時代の7つの海を支配した大英帝国全盛期を迎えます。ターナーの絵画の題材に「船」が多いのも、この時代的背景が重なったことが大きいといえます。

ターナーにはいろいろな絵があるのですが、私はこの「水」「空」「船」の3点を絶妙に表現した、風景画が最も素晴らしいと思っています。今回のターナー展で気に入った作品のベスト5をご紹介します。

第1位「The Grand Canal , Venice」1837年
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第2位「Bridge of Sighs, Ducal Palace and Custom-House, Venice」1833年
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第3位「Battle of Trafalgar」1805年
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第4位「Snow Storm」1842年
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第5位「Dido Building Carthage aka The Rise of the Carthaginian Empire」1815年
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番外編で、今回のターナー展には出展されませんでしたが、National Galaryに常設されている、こちら「戦艦テレメール号」も最高です。
番外1位「The Fighting Temeraire」1838年
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この作品にはサブタイトルがあり「戦艦テルメール号・・・1838年に解体のための最後の停泊地に曳かれていく」と情緒詩的な雰囲気を演出しています。1839年にこの作品がロイヤル・アカデミーで展示されたとき、かつてのネルソン総督率いる「トラファルガーの戦い」で栄光の船と言われた帆船「テルメール号」が役割を終えて、いまやすっかり権威を失い、解体されるために蒸気船に曳かれていく・・・その様子は多くのイギリス人の心をしめつけたといわれています。帆船から蒸気船へ世代交代していく「産業革命」全盛時代の「ヴィクトリア時代」に描かれたものですが、今見ても、全く色あせない作品です。まるで一つの時代を創った老人(大英帝国)が若者(米国そして中国)にメッセージを送っているような、そんな情緒詩的な作品です。
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by winchesterpark | 2010-01-02 04:35 | アート