英国駐在員の日々雑感


by winchesterpark
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ポンドの下落が止まりません。先週、発表された英国GDPがマイナス成長に転じたこともあるのですが、これは根底にある英国経済のシステムが成り立たなくなっていることを示しています。BOEは今年さらに利下げを実施することになるでしょう。
筆者がロンドンに赴任した年はたしか1ポンド183円位でした。その後も英国の好景気に足並みを揃えて、2007年ピーク時は1ポンド250円近くまで上昇しました。現在、ロンドン地下鉄の初乗り料金は4ポンドなのですが、円換算で1000円ということになります。うちの同僚のイギリス人が90年代前半に購入した住宅価格は3倍から4倍にまで上昇し、その資産効果で消費を続け、まさにバブルを謳歌していました。しかし昨年8月に始まった金融危機と同時に、ポンドは下落を続け先週は150円まで下落、これはバンクオブイングランドを潰した男と言われている、ジョージ・ソロスがポンド売りを仕掛けた、有名な「ERM離脱」の92年9月の下落率より大きい状況です。

英国は、ブレア首相、ブラウン蔵相の2人三脚で、一時は英国病とまで言われ失業問題等で病んでいたこの国を、再び蘇らせ、それこそロンドンには世界中の人・物・金が集まり、過去の栄光であった「大英帝国」の再来かと言えるほどの好景気を謳歌してきました。筆者自身は、日本のバブル崩壊後に金融業界に就職し、日本では長いバブル崩壊後の失われた10年を経験していただけに、ブレア政権のピーク時にロンドンに赴任した筆者にとって、日本とは対照的な英国の好景気ぶりには驚かされるばかりでした。

▼現在のCITYの中心地、旧王立証券取引所。ここで数々のドラマが生まれてきましたが、2008年は100年に一度の金融界激動の年となりました。
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英国は言わずとしれた、アングロ・サクソン諸国の中心にある国です。大英帝国は終焉したとは言え、エリザベス女王は、カナダ・オーストラリア・ニュージーランドを始めとする世界53カ国が加盟しているイギリス連邦(The Commonwealth)の元首であり、米国と並んで、冷戦後のアングロサクソン諸国主導の資本主義社会の中枢国と言っても過言ではありません。我々、日本人は、全く言語の構造が違う英語を学び、この資本主義世界の秩序にキャッチアップしてきました。特に筆者が属している金融業界はその最たる社会となっています。
▼バッキンガム宮殿は、現在、世界の53カ国が加盟するイギリス連邦(The Commonwealth)の元首であるエリザベス女王の住居となっており、アングロサクソン諸国の聖地となっている。
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ところが、世界中を我が物かのように操ってきた、アングロサクソン型資本主義社会が今まさに崩壊しようとしています。これは大げさな話ではなく、個人的な感想では、ロンドンオリンピックが開催される2012年の後が一番やばい時期に入るのかなと思っています。1980年代にサッチャー政権が築いた「小さな政府」と呼ばれた「新自由主義」が、市場型資本主義を加速させたのですが、今この市場型経済そのもののシステムが成り立たなくなっているのです。つまり社会主義、資本主義でもない第3の軸が必要とされているのです。筆者は日本の江戸時代にそのヒントがあるかと考えています。くわしくは次回披露させていただきます。

世界中の週刊経済誌で最も質が高いと言われている「The Economist」の表紙は、世界の政治経済の世相を確認するのに最も優れている題材なのですが、過去6週間の表題は以下のとおりです。
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・左上2008年10月25日「Into the storm」・・先進国に続きBRICSも嵐に巻き込まれる
How the emerging world copes with the tempest will affect the world economy and politics for a long time.
・中上2008年10月18日「Capitalism at bay」・・資本主義の終焉
What went wrong and, rather more importantly for the future, what did not.
・右上2008年10月11日「Saving the system」・・金融システムを救うことはできるのか
At last a glimmer of hope, but more boldness is needed to avert a global economic catastrophe.
・左下2008年10月03日「World on the edge」・・公的資金(税金)投入しかない
Whatever happens in Congress, the crisis is now global; that means governments must work together.
・中下2008年09月27日「I want your money」・・米国財務省長官ポールソンは叫ぶ
No government bail-out of the banking system was ever going to be pretty. This one deserves support.
・右下2008年09月20日「What next?」・・リーマン・AIGの次は誰
Global finance is being torn apart: it can be put together again.
という状況です。
最後までお付き合いありがとうございます。これからも時々金融日記を投稿させていただきますので楽しみにしていてください。
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by winchesterpark | 2008-10-27 07:49 | 金融日記
秋に訪れるナショナルトラストで一番人気のある英国式庭園(ストアヘッド)Stourheadへ日帰りで行ってきました。ロンドンからは2時間半位の距離で(M40→M25→M3→A303→B3029)、絵画のような風景に巡り合うことができます。▼WEBサイト

この風景式ガーデン(Landscape Garden)は18世紀から19世紀にかけて英国で独自に発展したのですが、それは「庭を造るのは風景画を描くのと同じだ」という詩人アレクサンダー・ポープの言葉が理念となっています。それまでの庭造はフランスのヴェルサイユ宮殿に代表されるように、直線的で左右対称の幾何学模様をモチーフとした形式が主流だったのですが、ゆるやかの起伏をもつ英国の地勢には合わず、見た目には人工的でない、より自然な風景に近いガーデンが主流となっていくのです。

またストアヘッドの魅力は、絵画の中にもぐり込んだ錯覚を覚えるだけでなく、刻一刻と光の加減でその光景がどんどん変化していきます。特に秋の紅葉は彩色がすばらしく、英国人の心の故郷となっています。

まずは以下のフォトギャラリーをお楽しみください。
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このガーデンは自然美を最大限大事にしていて、いわゆる「静寂」や「侘び」という日本人が大切にしている美徳を感じることができます。「岡倉天心」はその美徳を「茶の本(THE BOOK OF TEA)」で表現し、当時、西洋では全く知られていなかった、日本の文化レベルが世界最高水準であることを伝えていますが、このガーデンにもそのような岡倉天心の求めていたものがかいま見れます。

世界がアングロサクソン諸国を中心とした資本主義経済に傾倒した結果、現在そのシステムが成り立たなくなり崩壊中にあります。世界の秩序は、1000年単位の動きの転換点にあると考えれています。今回、このNationalTrustを訪れて、本当に大切なものは何かということ理解し、このような庭園を永遠に大事にしていくという英国人の姿勢を感じ取ることができ、少し安心しました。
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by winchesterpark | 2008-10-19 20:15 | 景色